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「へえ……」
そう言ったつもりが開いた口の隙間からはわずかに息が漏れただけだった。
彼女はそんなことは気にもしないで長い髪の毛先を触りながら組んでいた足を組み直した。
「安藤さんは興味ない?」
「え」
「そっか、安藤さんは社長や室長タイプだもんね。ああいうのには興味ないか」
南田さんは勝手にそう結論付けた。
けれど、私もそこは
否定しないけれど。
彼女は今まで溜まっていた何かを吐き出すように饒舌に話す。
「もし、彼を落とせたら、女っぷりが上がるんじゃないかって思うんだよね」
彼女はいたずらをする前の子供みたいにニヤリと笑った。
「食えない男を……食うの」
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