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「休憩時間にすまないね」
私が社長室に入ると、社長は自分の席から立ち上がってデスクの前の応接テーブルへ移動し、私をソファに促した。
私は社長の向かいに浅く腰を降ろした。
「寂しくなるね」
席に着いて社長の第一声はそれだった。
私は微笑みながら小さく頷いた。
実際に、社長の秘書でなくなることには淋しさが込み上げる。
この会社に社長と布川さん以外に心を許せる人はいない。
まして、今まで経理部とはほとんど接触はなく、
未知の世界と言ってもいい。
社長は小さなため息を漏らして背もたれにもう一段深く背中を沈ませた。
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