二度目の異動

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「社内で最も信頼できる男に君を預けるんだからね。私は少しも心配していない。むしろ安心だ」 「……そうですか」 何と言ったらよいのか正直わからなかった。 「君には最初から私との妙な噂が付いて回ってるから、私の元を離れて、もっと周りとの付き合いも楽しんでもらたい。会社とは、仕事をするだけの場所じゃないからね」 「はい。ありがとうございます」 社長の気遣いが嬉しかった。 社長から温かい言葉をもらうだけで前向きに考えることができる。 もちろん、社長秘書からの異動となることで、 また面白おかしく噂されることも覚悟しているけれど、 今まで耐えてきたことに比べれば、きっと鼻で笑ってしまうくらいにたいしたことではないはずだ。
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