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「この会社において、日頃彼に掛かるプレシャーは相当なものだ。彼任せにしてしまってる私が言うことじゃないけどね」
社長は苦笑いを漏らしてから私を見つめた。
「彼を支えてやって欲しい」
社長の目は私にそれを懇願しているかのようだった。
私は身を乗り出した。
「社長、私、そんなことが出来るとは思えないんです。知識も経験もないですし……」
私は俯いて首を振った。
「大丈夫。君なら出来るよ」
社長は自信たっぷりにそう言った。
私は最後にもう一度社長にお礼を言って退室した。
今回の異動で私は退社するわけではない。
この会社に残れるのだ。
「会えなくなるわけじゃないんだから」
社長はどこか自分を慰めるように笑っていた。
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