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「え……?」
顔を上げると同時に鼻の先に彼の息を感じた。
唇が……重なる……。
息が出来なくなって
胸の奥が押し潰されそうになる。
唇が離れると
めまいがして布川さんの胸に手のひらを着いた。
「大丈夫か?」
私は答える前に慌てて手を離した。
「……その反応、いい意味に捉(トラ)えていいのかな?」
呼吸が苦しくて返事が出来ない。
自分の熱で眼鏡が曇りそうだった。
そんな私を見て、彼はその言葉のままに私の意思を汲み取ったようだった。
「……行こう。早くここを出たい」
布川さんは私の腕を引いて秘書室から出し、電気を消して急(セ)くように戸締りをした。
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