二度目の異動 -2

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「え……?」 顔を上げると同時に鼻の先に彼の息を感じた。 唇が……重なる……。 息が出来なくなって 胸の奥が押し潰されそうになる。 唇が離れると めまいがして布川さんの胸に手のひらを着いた。 「大丈夫か?」 私は答える前に慌てて手を離した。 「……その反応、いい意味に捉(トラ)えていいのかな?」 呼吸が苦しくて返事が出来ない。 自分の熱で眼鏡が曇りそうだった。 そんな私を見て、彼はその言葉のままに私の意思を汲み取ったようだった。 「……行こう。早くここを出たい」 布川さんは私の腕を引いて秘書室から出し、電気を消して急(セ)くように戸締りをした。
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