872人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
室長は少し気のない返事をした。
なのに、私は酔いも回り始めているのかそんなことには気が付かなかった。
たいして面白くない話でも、気分が高揚して何でも笑い話になってしまう。
「『マズい』って言ったんですよ」
私はここでも徳島部長の真似を忘れなかった。
あの時はカチンときたけれど、こうやって話すと可笑しいのだから不思議だ。
けれど、それは一方的に私だけに当てはまることだったようだ。
「信じられます?」
私が言うと、布川さんは小さく笑っただけだった。
そこに彼との温度差を感じて、急に自分が恥ずかしくなった。
しゃべり過ぎてしまった……。
風船がしぼんでいくように私の身体も小さくなる。
「すみません……」
居たたまれなくなって小さく呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!