迷いの夜

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室長は少し気のない返事をした。 なのに、私は酔いも回り始めているのかそんなことには気が付かなかった。 たいして面白くない話でも、気分が高揚して何でも笑い話になってしまう。 「『マズい』って言ったんですよ」 私はここでも徳島部長の真似を忘れなかった。 あの時はカチンときたけれど、こうやって話すと可笑しいのだから不思議だ。 けれど、それは一方的に私だけに当てはまることだったようだ。 「信じられます?」 私が言うと、布川さんは小さく笑っただけだった。 そこに彼との温度差を感じて、急に自分が恥ずかしくなった。 しゃべり過ぎてしまった……。 風船がしぼんでいくように私の身体も小さくなる。 「すみません……」 居たたまれなくなって小さく呟いた。
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