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「部長、どちらに行かれるんですか?」
「秘密の部屋だ」
「ひ、ヒミツの部屋!?」
一瞬にしていかがわしい妄想しか思い浮かばず、私は部長から一歩引いた。
「そういう反応は嫌いじゃないが、残念ながらそういう場所じゃない」
「そ、そういう場所って、私、何も……」
「そうか?俺と同じことを考えてると思ったが」
「え」
私たちは冗談を言い合っているようだけど、
いや、確かに冗談を言っているのだと思うけれど、
部長の表情は……真顔だ。
「……で、本当はどこなんですか?」
私は一度反り返った背中を何とか垂直に直した。
すると、部長は廊下の角を一つ曲がった。
「この先って……何があるんですか?」
そこは
私が足を踏み入れたことのない場所だった。
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