忍び寄る過去-2

5/30
前へ
/30ページ
次へ
「何のことですか?」 部長はしれっとして聞き返した。 「私が安藤君に会いたがっていることに気付いたんじゃないのか?」 「いえ、ちょっとしたついでです」 社長は部長の話を聞いてクスクスと笑っていた。 「安藤君、元気そうで何よりだ。仕事は……楽しくやってるようだね」 社長は私が返事をせずとも理解してくれたようだ。 「徳島君は優しいかね?」 私はその言葉に一瞬間をおいてしまった。 そして、次の瞬間には正直に答えていた。 「いえ……厳しいです」と。 社長はそれに大声で笑いながら私たちを席へ座るように促した。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

804人が本棚に入れています
本棚に追加