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私の予想がことごとく外れ、私はしばし呆然としていた。
すると、今まで無表情だった部長が含み笑いをした。
「俺がみんなとは飲まない理由はもう一つある」
「……何なんですか」
私は部長の方を見ずに自分の水割りを口に運んだ。
だいぶ氷が溶けて薄まっている。
すると、部長も正面を向いたまま一度口を着けたグラスをテーブルに置いて言った。
「酒癖が悪いからだ」
私は言葉を失っていた。
「でも、今……飲んでますよね?」
恐る恐る聞いてみると、部長はまた一口焼酎を飲んだ。
部長の喉がゴクリと鳴って、大きく突き出た喉仏が揺れた。
「言っただろ。彼女たちの言うとおりにしようと思ったんだよ。
たまには羽目を外すのも悪くない」
部長がグラスの中身を飲み干すと、
空になったグラスの中で残った氷が、冷たい音をたてて転がった。
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