グレーの扉-2

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「部長、もう帰りますから大丈夫です」 私が部長の背中に呼びかけると、部長はゆっくりと振り返った。 「今から帰るつもりか?」 「……はい」 「電車もないぞ?俺は飲酒で運転も出来ない」 「……あ。じゃあ……タクシーで……」 そう言いながら不安になる。ここは部長の家だろうけど、一体どこなのかわからなかったからだ。 所持金はそれほど多くない。 すると、部長は面白そうに私の顔色を窺うと、クスリと笑って前方を向いた。 「つまらん心配はしなくていい。 帰すつもりなど毛頭ない」
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