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「部長、もう帰りますから大丈夫です」
私が部長の背中に呼びかけると、部長はゆっくりと振り返った。
「今から帰るつもりか?」
「……はい」
「電車もないぞ?俺は飲酒で運転も出来ない」
「……あ。じゃあ……タクシーで……」
そう言いながら不安になる。ここは部長の家だろうけど、一体どこなのかわからなかったからだ。
所持金はそれほど多くない。
すると、部長は面白そうに私の顔色を窺うと、クスリと笑って前方を向いた。
「つまらん心配はしなくていい。
帰すつもりなど毛頭ない」
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