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その後部長は「とにかくシャワーを浴びて、冷えた身体を温めろ」と言って部屋を出て行った。
一人になると、水に濡れたパンツの大きな染みが急に冷え、太腿から私の体温全部を奪おうとしているみたいだった。
「冷たい……」
私はその部分を指先で摘まんで開けっ放しになっているドアの方を見つめた。
すると、タイミングを見計らったかのように部長の声がする。
「何してるんだ?早くシャワーを浴びろ」
私は明るいドアの向こうをしばらく見つめ、吸い寄せられるように一歩ずつ歩き出した。
薄暗い部屋から出ると、隣の部屋の明かりが眩しくて目がくらみそうになった。
「何枚か着替えを出してあるから適当に選べ」
「……すみません」
「それは聞き飽きた」
私は少し可笑しくなりながら、再び喉元まで出かかったその言葉を飲みこんだ。
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