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「その口は『すみません』しか言えないのか?」
部長は呆れたように言った。
焦る頭で必死に考え、じゃあ『ごめんなさい』ならいいだろうかなどと屁理屈を思っていると、部長が私の手を引き寄せた。
「もっと他に使い道があるだろ?」
部長が身体を屈めて私の唇に唇で触れた。
突然のことに、目を瞑(ツブ)ることも出来なかった。
見開きっぱなしの私の瞳に薄らと微笑む傷付いた唇が映った。
「これですぐに治るだろ」
部長は言い置いて一人でキッチンに入り、「早くシャワーを浴びて来い」と言いながら冷蔵庫から缶ビールを取り出した。
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