グレーの扉-2

32/38
前へ
/38ページ
次へ
その後私はふらふらとバスルームに向かい、何とか服を脱いで熱いお湯を全身に注いだ。 部長の唇の感触がいつまでも後を引く。 そのせいで腕に残っていた感覚など、一瞬にして吹き飛んでしまった。 身体を温めるためのシャワーだったはずなのに、私の身体はシャワーのお湯を浴びる前から火照り始めていた。 ……熱い…… 私はシャワーの蛇口に手を添えると、お湯の温度を幾分下げた。 部長の考えてることがわからなかった。 どう考えても、冗談を言うタイプの人間ではないけれど、 さっきのアレは、冗談以外に何があるのだろう。 そう考えていると、私はあることを思い出して合点がいった。 「……あ」 そうだ、部長の酒癖の悪さはこれだったのか、と。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

815人が本棚に入れています
本棚に追加