グレーの扉-2

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私は咄嗟に部長から目を逸らした。 それは一種の防衛本能とでもいうのだろうか。 「いえ、け、結構です」 どもりながら返事をして、部長から渡された缶ビールのプルトップに指を掛けた。 一回目はカチンと爪が音を立ててはじかれて、二回目で開いた缶に急くように口を着けた。 気を失っている間に眠ってしまい、さらにシャワーを浴びたことで酔いが醒め始めている。 今のこの状況は、アルコールなしではとても乗り切れそうになかった。 喉が渇いていたのでビールが美味しい。 私はそのまま勢いを付けて一息分喉に流し込み、それを飲み込むとプハーっと大きく息を吐き出した。 そして、顔を俯かせたまま上目遣いに部長を盗み見た。 いつもなら眼鏡のフレームが隠れ蓑(ミノ)になってくれるけど、今は素顔をさらしているのでそうもいかない。 部長は難なく私の視線を捕まえた。
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