開かれた扉

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鼓動の速まりは限界に達してしまいそうなほど速く、少し苦しかった。 部長には何もかも、見透かされているような気がした。 そもそも、私を秘書室から強引に経理部に異動させたのは徳島部長だ。 いや、部長はもっと最初から私に関わっていたはずだ。 社内でもこれだけ影響力のある人物だ。 社長は何か新しいことを始めようとする時は、必ず部長に相談すると言っていた。 そんな社長が長野の一店舗の派遣社員を本社の秘書室へ異動させることを部長に相談しないはずはない。 そうだ、あの時……。 私は部長と私で社長室に出向いた時の話を思い出した。
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