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私は布川さんを見つめた。
「徳島部長だから庇っているんじゃありません。
夕べ、あの状況で別の誰かが私を介抱してくれたなら、私はその人も同じように庇います」
布川さんが黙って私を見つめ返す。
私はその目にたたみかけるようにゆっくりと続けた。
「室長は……夕べ私を泊めたのが徳島部長じゃなかったら、そんなに目くじらを立てなかったんじゃないですか?
最近の室長、私が秘書室にいた頃の室長と何か違う……。
何かあったんですか?
どうしてそんなに徳島部長にこだわるんですか?」
気付けば涙が頬を伝っていた。
一緒に蕎麦焼酎を飲んだあの日の彼が脳裏に浮かぶ。
優しくて、いつも頼りになる……
布川室長。
あれからこんな短期間のうちに何があったというのだろうか。
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