開かれた扉

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すると、部長も缶ビールをテーブルに置いた。 「俺が君の何を知ってるというんだ?」 すぐに、聞いた自分が馬鹿だったと気付く。 これでは何かがあるのだと告白しているのに等しいではないか。 逆に部長に尋ねられて顔を伏せる始末だ。 「いえ、何でもないです……」 部長はそんな私をしばらく見つめていた。 その視線に耐え切れなくなった私は話題を変えた。 「私を長野の店舗から本社へ異動させたのには、何か他に理由があったんですか?」 私はそこまで言いながらあり得ないようなことを思いついた。 そして、それをそのまま口にした。 「もしかして、本当の理由は別にあって、社長の秘書になるという方が口実なんですか……?」
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