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「あ、寝不足って言ってたもんね?大丈夫?」
私たちの会話にみんなが心配そうな顔を見せる。
再び罪悪感が私を包んで顔をまっすぐ上げられなかった。
「大丈夫です。単なる寝不足ですから」
眠気なんて微塵も感じなかったけれど、私はそう言って着替えの進まない手を止めて壁際のベンチに腰を降ろした。
「じゃあ、今日は早く帰ってゆっくり寝てね」
「皆さんは楽しんで来てくださいね」
「了解。安藤ちゃんがいないのは残念だけどね」
彼女の何気ない一言に
涙が出そうになった。
私は寝不足を理由にして正解だと思った。
涙が零れそうになる瞼を指先で押さえ、こめかみを押さえて演技を続けた。
「安藤ちゃん、そこで寝ないでよ~」
私はあくびの演技も忘れなかった。
涙目になった顔をみんなに向けて着替え終わったみんなを笑って送り出した。
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