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「まあ、そういう理由じゃ仕方ないけど」
彼はポツリと言った。
私は客に「ふざけるな」だの「金を返せ」だの、罵声を浴びせられるものとばかり思っていたので拍子抜けした。
「本当にすみません」
私は彼女の代わりにもう一度謝った。
「とにかく中で話そうか」
「……え?」
「こんなところで立ち話もなんだろ?言っとくけど、もうお金払ってるし。代理でも話くらいは出来るだろ?」
彼の言葉に、私はどうしていいのかわからずに黙り込んだ。
「すみません、私はちょっと……」
私が足元を見たまま言うと、彼は私の言葉を遮った。
「君は彼女の友達?話相手になってくれたら、支払ったお金、そのまま彼女の取り分にしていいよ。払い戻しなしでいい」
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