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ガシャン……
突然物音がして、私を現実に引き戻した。
プリンターが動き出す音だった。
灰色の室内で定刻になると開始する手はずなのかプリンターは唸り声を上げてスピードを加速させている。
印刷された用紙は寸分の狂いもなしに受取り用のトレイに綺麗に折り畳まれていく。
「あの時、君は下着も取らなかったし、派手なポーズこそとってくれなかったけど、それがまた素人っぽくて良かったんだよね。
だけど、事務所に登録してなかったからあれっきりだったけど。
再会した時の俺の気持ち、わかる?
……ゾクゾクしたよ」
彼は手にしていた写真を目の高さに掲げ満足そうに笑った。
「エラーの復旧と取れなかったデータお願いします。
お願いですから……私以外に迷惑掛けないでください」
「君の対応次第だよ。五年か……。あの頃よりずっと……大人っぽくなったよね」
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