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……五年前。
自動車部品の製造工場に勤め、二年間の契約期間満了をもうすぐ迎えようとしていた頃のことだった。
工場勤務は思いの外忙しく、休みなく出勤した上に休日の出勤にも駆り出され、私の経験した職種では一番重労働だった。
「ねえ、もっと楽して稼ぎたくない？」
当時、同じ派遣会社から派遣され、私より一足早くその日に契約期間が終了した仕事仲間の一言だった。
サバサバした性格の彼女とは気が合い、派遣会社では親しくしていた人物だった。
「そんな仕事はないって肝に銘じてるから」
私はため息交じりに返事をした。
「ねえ。私、おいしい仕事見つけたんだけど、一緒にやってみない？」
彼女は何かを考える素振りを見せながら意味ありげに言った。
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