眼鏡の向こう

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手からペットボトルが滑り落ち、小さな音を立てて転がった。 冷えた水の後に侵入する部長の舌は私の体温を再び上昇させた。 私の中に納まりきらない熱が唇の隙間から吐息になって漏れ出した。 私は激しいキスに自分を支えきれず部長の背中に腕を回してしがみつく。 妖しい音と荒い呼吸にまみれながら私たちは招かれるように寝室に移動し、ベッドに倒れ込んだ。 小さくバウンドした拍子に唇が離れると、部長はそれを惜しむように再び私を強く引き寄せる。 『……止められなくなる……』 あの時は半信半疑だったけど…… 私を包み込む部長の唇も 私を抱きしめる腕の強さも その言葉を裏付けるように…… 私を……求めてくれていた。
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