眼鏡の向こう

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大きな手の指先は思いがけずに繊細で優しい。 私はいつか見た部長の手を思い出していた。 男性の割に長くて滑らかな指。 その指先が今、私の中を探り、弱い部分を見つけては弄ぶ。 私は指先からの刺激に耐え切れずに声をあげ、シーツを硬く握りしめた。 「……部長……」 思わず彼を呼んだ。 次の瞬間には我慢していた甘い声が鼻から抜ける。 「……どうした?」 部長は私の耳元で囁くと、答えを急くように指先の動きを早めた。 私が口を噤んで答えないでいると、部長は指先を先程よりも奥へ忍ばせ、私は小さな叫びをあげた。
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