眼鏡の向こう

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「じゃあ、今すぐここを出ますから。それで文句はないでしょう?」 「文句大ありだな。これをネタに彼女に何かを強要するなら立派な犯罪だ」 部長も彼も一歩も引かない。 社内でも噂になるほどの立場のある徳島部長に彼がこんなにも強気でいられるのは…… 私の弱みを握っているからだろう。 「彼女が同意の上なら問題ないでしょう?」 「同意?そんなものがあるわけないだろう?」 部長は鼻で笑った。 すると、それに応えるように、彼はニヤリと口元を緩ませた。 「って、徳島部長は言ってるけど、安藤さんはどうなの?」 彼は言いながら視線を一度写真の入った茶封筒へ移し、ゆっくりと私に戻した。 彼が何を言おうとしているのかは…… すぐにわかった。
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