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「君をそこから救ってやりたい……そんなカッコイイことは思わなかったが、君からその悲しみを取り除くのが俺であればいいと思った。
いわば俺は……君の過去に惹かれたのかもしれない」
私の唇が小刻みに震えた。
瞼から溢れてこめかみを伝う涙を私は慌てて拭った。
部長の言葉はどんな慰めよりも私の心に響いた。
彼は私の過去をすべて受け入れてくれていた。
もしもその言葉が私のための優しい嘘だったとしても、私はかまわない。
私は自分のホントの気持ちに気付けたのだから……。
私は部長の頬にキスをした。
私からする初めてのキスだった……。
―――――――― Fin ―――――――――
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