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一瞬妙な間が空いた。
「……イイ男って……部長のこと?」
誰かがそれを確認すると、
「そうだよ」
宇野さんはあっさりと返事をした。
「え?部長を!?誰が!?誰が狙ってんの!!」
今度の食いつきは先程の比ではない。
ただ一人、私はみんなから遅れをとってゆっくりと身を乗り出した。
もちろん、興味がなかったわけでも余裕だったわけでもない。
身体よりも心的なダメージの方が強かったために、身体がすばやく反応することが出来なかったのだ。
宇野さんが答えるまでのわずかな時間にも鼓動のリズムが崩れて苦しい。
強張った表情を笑顔に変換しようと思って試みていると、
宇野さんが私を見た。
「ほら、あのコだよ。安藤ちゃんと同じタイミングで秘書課から総務に異動になった……名前、何だっけ?」
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