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そして、私たちは新しいグラスを手にした。
「で、安藤ちゃん、どうなの?」
宇野さんが私に顔を近付けてくる。
「わ、私のことは……いいじゃないですか」
私はこめかみの辺りに右手を上げる。
いつものつもりで眼鏡のフレームに触れようとすると、
手はこめかみすれすれの位置で宙に浮いた。
「眼鏡取ったらすっごく印象変わったよね?」
そう、私はあれ以来、会社に行くのにも眼鏡をしていない。
部長が外してくれたあの日から。
宇野さんの目が真正面から私をとらえる。
「眼鏡取ったのは……彼氏の好み?」
「ち、ちが、違いますよ!!」
私は慌てて否定した。
そして、直後にハッとする。
「やっぱり……その反応は……できたんだ?」
「・・・・」
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