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「……会社の人がいるかもしれないから……」
「そんなのいたってかまわないだろ?隠そうと思ってるのか?」
「だって……また……噂になるし……」
部長は私を睨んだ後、ゆっくりと口角を吊り上げた。
「確かに君はいろんな噂があったな。『社長の愛人』に『秘書室長の恋人』」
どこか嫌味のこもった言い方に、私は軽く部長を睨み返した。
「……言わないで下さいよ」
尖った唇がなかなか元に戻らない。
可愛くないのは百も承知だ。
すると、部長は突然私の手を取った。
「部長っ!?」
手を取られたと同時に部長の方へ引き寄せられたので、バランスを崩して部長にぶつかる。
密着した私たちの間では、しっかりと手が繋がれていた。
「部長!!誰かに見られてたらどうするんですか!!」
私が手をほどこうとすると、部長は離すまいと力を込めた。
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