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「間違った噂にならないようにな」
部長は繋いだ手を再び握り直し、私に顔を近付けた。
「経理部長の……婚約者でどうだ?」
「こ、婚約者!?」
私が顔と背中を同時にのけ反らせると、部長が繋いだ手でそれを引き寄せる。
「冗談……言わないでくださいよ」
「別に冗談を言ってるつもりはない」
「そんな……」
「嫌なのか?」
「い、嫌じゃないですよ!」
私は咄嗟に答えていた。
「ならいいじゃないか」
部長は少しだけ笑った。
だから私も笑った。
「部長……もう酔ってます?」
「そんなわけないだろ?
これから二人で楽しむんだから」
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