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「えーー。来てくださいよ。部長、今日は海鮮ですよ!?」
宇野さんはそう言うと、隣にいた私の背中を指先で突いた。
「ね、安藤ちゃんが誘ったら部長も来るんじゃない?」
小声で言った彼女を振り返りながら私も小声で聞き返す。
「な、何でですか!?」
「だって、前回も安藤ちゃんがお願いしたら来てくれたじゃん」
「あ、あれは私の歓迎会だったからで……」
「いいから、いいから。さ、お誘いして受け取ってきて」
宇野さんは私の背中を押して無理矢理に私を一歩前へ追いやった。
私はつんのめるように前に出ると、仕方なく部長のデスクへ向かってみんなに背を向けたまま部長の真正面に立った。
「あ、あの、部長も……」
視線を泳がせながら切り出すと、部長は私を見上げたままニヤリと笑った。
もちろん、その顔は私に隠れてみんなには見えていない。
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