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私はその顔にさらに落ち着きをなくし、目を逸らそうとして、逆にバチリと視線を合わせてしまった。
そして、その視線は一瞬にして部長に捕えられ、今度は目を逸らすことが出来なかった。
「悪いな、今日は社長を含めて打ち合わせだ。また行かせてもらうから、今日はみんなだけで楽しんで来い」
部長はそう言いながら私にお札を突き出して私にそれを握らせた。
その瞬間、部長が私の手を一瞬だけ包み込む。
驚いて目を見開いた私に部長はいたずらっぽく目を細めた。
そして、みんなには聞こえないように囁いた。
「終わったら連絡しろ。二人で飲み直しだ」
顔の中心から熱が広がる。
「……わ、わかりました。ありがとうございます」
私は何とか返事をしながら手を引っ込めた。
「部長に……いただきました」
みんなを振り返る時には自然な表情が出来ていたかどうか……
自信がなかった。
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