番外編【私のヒミツ。彼の酒癖】

7/27
前へ
/27ページ
次へ
私はその顔にさらに落ち着きをなくし、目を逸らそうとして、逆にバチリと視線を合わせてしまった。 そして、その視線は一瞬にして部長に捕えられ、今度は目を逸らすことが出来なかった。 「悪いな、今日は社長を含めて打ち合わせだ。また行かせてもらうから、今日はみんなだけで楽しんで来い」 部長はそう言いながら私にお札を突き出して私にそれを握らせた。 その瞬間、部長が私の手を一瞬だけ包み込む。 驚いて目を見開いた私に部長はいたずらっぽく目を細めた。 そして、みんなには聞こえないように囁いた。 「終わったら連絡しろ。二人で飲み直しだ」 顔の中心から熱が広がる。 「……わ、わかりました。ありがとうございます」 私は何とか返事をしながら手を引っ込めた。 「部長に……いただきました」 みんなを振り返る時には自然な表情が出来ていたかどうか…… 自信がなかった。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

844人が本棚に入れています
本棚に追加