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「だ、大丈夫ですよ。今日は」
私は前の宇野さんまで聞こえるように大きめの声で返事をした。
そして、部長の言葉が頭をよぎる。
……二人で……飲み直し……
「……大丈夫ですよ。今日は……少し、控えめにしときますから」
私は顔を俯けて、独り言のように呟いた。
すると、思いがけずにそれが宇野さんの耳まで届いてしまったようだ。
「え?何言ってんの!?飲ますに決まってるでしょー?」
小声だったはずなのに、そういうところは地獄耳だ。
「金曜の夜、街に繰り出して飲まずして何をする!!」
宇野さんは拳を上げて空に叫ぶ。
「……宇野さん、飲んでないのに完全に酔ってるね」
誰かの呟きに「……ホントに」と、私は心の中で相槌を打った。
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