番外編【私のヒミツ。彼の酒癖】

9/27
前へ
/27ページ
次へ
「だ、大丈夫ですよ。今日は」 私は前の宇野さんまで聞こえるように大きめの声で返事をした。 そして、部長の言葉が頭をよぎる。 ……二人で……飲み直し…… 「……大丈夫ですよ。今日は……少し、控えめにしときますから」 私は顔を俯けて、独り言のように呟いた。 すると、思いがけずにそれが宇野さんの耳まで届いてしまったようだ。 「え?何言ってんの!?飲ますに決まってるでしょー?」 小声だったはずなのに、そういうところは地獄耳だ。 「金曜の夜、街に繰り出して飲まずして何をする!!」 宇野さんは拳を上げて空に叫ぶ。 「……宇野さん、飲んでないのに完全に酔ってるね」 誰かの呟きに「……ホントに」と、私は心の中で相槌を打った。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

844人が本棚に入れています
本棚に追加