-2ー

12/24
前へ
/24ページ
次へ
「えぇ!?」 彼女がグラスに落としていた視線を俺に向けて目を見開く。 その目がその先を聞きたがっているのに、俺は意地悪くそれを焦らす。 すると、彼女の黒目が小さく揺れた。 聞きたいのなら聞けばいいのに、と思いながらその瞳に揺さぶられて俺も簡単に口を開く。 「何て返事をしたと思う?」 「……何て……言ったんですか?」 彼女は恐る恐るといった感じに俺に視線を寄こした。 「まさか、そこで嘘はつかないだろ?『いる』って言ったぞ」 俺が言うと、彼女は顔を真っ赤にしながら身体を固くした。 「それって……私のことですか?」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

718人が本棚に入れています
本棚に追加