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「部長のバカ……」
私はもう一度言った。
「人のことをバカ、バカ言うな」
部長が私の腕を取る。
「帰ったらたっぷりお仕置きだな」
そして、足早に歩き出す。
……部長の……バカ。
私は心の中でもう一度呟いた。
部長を『バカ』なんて言えるのは……
カノジョだけの……特権でしょう?
私は部長に捕まれた腕を一度ほどくと、
自分から部長の手を取った。
「……部長のお仕置きなんて、怖くて私、泣いちゃうかも」
「……どうだか。そんなこと言って、ホントは期待してるだろ?」
「そ、そんなワケないでしょ?そういうところがバカって言うんです!」
「バカで結構。朝まで鳴かせてやる」
「部長のバカ!」
私が叫ぶと部長は笑いながら私の手を強く握り返した。
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