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「お邪魔します……」
部長のマンション――。
夜中なので私は小声で言って靴を脱いだ。
すると、先に部屋に上がった部長が奥で笑っている。
「『お邪魔します』なんて、今更。もう、我が家も同然だろ?」
「そ、そんなワケないでしょう!?」
私は部長に言い返した。
私がここに来たのはまだほんの数回で、我が家同然と思っていたらこんな風に緊張しない。
部長は唇を尖らせた私の顔を見ていたずらっぽく微笑むと、冷蔵庫からいつものように水を取り出した。
そして、キャップを外すとペットボトルに口をつけ、ゴクゴクと飲みながら片手に新しいペットボトルを持って私の方へやってくる。
部長は私の前まで来ると、黙ってペットボトルを差し出した。
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