792人が本棚に入れています
本棚に追加
宇野さんは私の背中から目を離し、私と目が合うと一瞬焦って目を逸らした。
「……宇野さん?どうしました?」
「え?いや、何でもない」
彼女の目が泳いでいた。
「な、なんですか!?」
そんな風にされては気になってしまう。
今度は私の黒目が目的もなしにぐるりと彷徨う。
私の……背中……?
そこに思考がいくと、私はハッとした。
驚いた私の顔と、いつの間にかニヤリと笑った宇野さんの顔が正面で向き合った。
彼女が笑ったままで私に近付き、小声で言う。
「ごめん。アザかと思ってビックリして口にしちゃった。
安藤ちゃん、それって……んふ。
さ、早く着て着て」
そして、彼女は最後に私の胸元に視線をやって、一言添えた。
「まったくしょうがない彼氏だね」と。
最初のコメントを投稿しよう!