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こうして私は
週末を部長の部屋で過ごすことも多くなった。
部長の腕に抱かれて朝を迎え、
ベッドの中でおはようを交わす。
部長は私の寝起きの顔にも寝癖にも慣れて、全てを笑い飛ばして私を全部受け入れてくれる。
部長の隣で目覚める朝、
私は起きた途端にも
自分がそこにいられる幸せに目がくらみそうになる。
「もう少しゆっくりしてろ」と、言って先にベッドから出た部長は
いつものように二人分の朝食をつくってくれる。
私はその匂いにつられるフリをしてキッチンに入る。
本当は……
本当の自分を見せたいの。
一日の始まりに顔を覗かせる、本当の自分を。
「……美味しそう」
私はフライパンの中の半熟加減の目玉焼きを覗き込む。
そして、部長の身体の側面から腕を伸ばして部長を抱きしめる。
「早く食べたい」
これが今、私に出来る最大限の甘えなのだ。
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