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二人きりのオフィスで……キス……。 けれど、私の妄想通りにはいかない。 部長が気にしているのは、私よりも紅茶の方だった。 私は思い切って口を開いた。 「部長……。 今日の飲み会の後……二人で……飲み直しって……アリですか?」 すると、部長は薄らと笑って、 「君がそうしたいなら」 と、短く返事をした。 それじゃあ、私だけが望んでいるみたいだ。 部長は……? 私が口を開きかけると、私ではない声が事務所に響く。 「おはようございます。……あれ?安藤さん、今日は早いね」 みんなより一足早く出社してきた山口さんだった。 「おはようございます」 私が返事をすると、部長が「山口君にも入れてやってくれ」と、言い置いて席に戻ってしまった。 二人だけの時間はあっという間に終わってしまった。 「わかりました」 私は返事をすると、二人分準備していた紅茶を部長と山口さんに入れ、自分はみんなのデスクを拭くために布巾を手にした。
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