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「安藤さん、今日は珍しいですね」 隣合ったロッカーで小泉さんが扉越しにこちらを覗いた。 「そうかな……」 と、返事をしながら私は慌てて薄手のジャケットを羽織った。 「でも、すごく似合ってますね」 小泉さんはそう言ってまた扉の向こうへ隠れた。 今日は白いサマージャケットのインナーに真っ青なノースリーブを選んだ。 最近新調したもので、今までの私なら絶対に着ない鮮やかなブルーだった。 店頭で随分迷ったけれど、首元が詰まっているので見た目の色より派手にはならないし、 眼鏡を外してから、ファッションにも今まで以上に興味が湧いてきたのだ。
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