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私は南田さんの言葉を聞いて 正座をしたパンツの膝の部分をキュッと握りしめた。 宇野さんは…… そして、彼女の言葉に頷いた経理部のみんなは 私が思っている以上に 私のことを……信頼してくれている。 私はその時、私に向けられている視線に気付いて顔を上げた。 見つめていたのは…… ……部長だった。 既に酔っているせいなのか、 部長の温められた視線に胸の奥が小さくつままれる。 全部お見通しだっていう余裕の笑みの中に 部長自らも……喜んでくれているようなあたたかい目。 私はこの時、やっと気付いた。 私はこの人たちに何を隠そうとしていたのかって。
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