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「気を遣っているというよりも……いや、何でもない」
何かを言い掛けた部長の言葉の先が妙に気になる。
けれど、部長はそのことには触れずに南田さんに確認した。
「行くのか?行かないのか?」
「……行きます」
彼女は少しも納得していないようすで、唇を尖らせたまま返事をした。
部長の態度には私は胸を撫で下ろした。
けれど、結局、南田さんを誘うことになってしまって、大丈夫だろうか。
だけど、部長には『部長』としての立場もある。
部署は違っても社員に相談があると言われれば、無下に断ることもできないだろう。
私はなんとか自分を納得させたけれど、
彼女がこのまま大人しく帰るとは
……とても思えなかった。
そして、
その予想は二次会の居酒屋で見事に的中した。
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