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「結局……私なんて、秘書室でも総務でも、経理でも……いらない人材なんですよね」
店に着くなり、彼女は愚痴をこぼしながら酒をあおっていた。
「私のことなんて誰も必要としてないんだわ」
そして、再びグラスに口をつけた。
彼女を連れて来たものの、もはや相談ではない。
「部長もそう思ってるんでしょ?」
しおらしい演技もどこかへ行った。
「経理部は安藤君が来てくれて手が足りている。総務で必要としているから君は総務に異動になった。ちゃんと、必要とされている」
「会社のことなんてどうでもいいですよ」
彼女が上半身を傾けて急に距離を縮めた。
「私は……部長に必要とされたい」
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