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俺たちは別に席を隔てているわけじゃない。 彼女の言葉はすぐそこで別の会話に加わっている香乃子の耳にも届ているはずだ。 香乃子は今、懸命に聞こえないフリをしているのだろう。 身体の曲線を見ただけで、身体が強張っていることがバレバレだ。 いっそのこと、俺の口から漏らしてしまおうか。 などと、悪い考えが頭をよぎるが、もちろん、口は開かなかった。 そして、俺の返事を待つ南田君に目をやった。 上目遣いと胸元のアピールは慣れたものらしい。 「俺が必要としている女は別にいる」 彼女の顔に不満があらわになる。 香乃子には聞こえただろうか。 「そういう相談には乗れないと言っただろ? 悪いがちょっと席を外す」 俺は席を立って一度店の外に出た。
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