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店の名前は「安眠屋バク」。
街角にある小さな店だ。
ここへは、訳あって眠れない者が度々やってくる。
不眠症に悩まされる者。
悪夢を見続けて、眠る事に恐怖を感じて眠れない者。
寝たいのに寝れない者。
それらの人々が安眠を求めてやってくる。
そして、この店の店員は店長ただ一人。
名前はネムリ。
歳は22歳。
身長162㎝。細身。
常に目の下に隈を作り、いつも気怠げに振舞うことからやる気という言葉が世界一似合わない女性だと、彼女を知る者は言う。
ボサボサの長く白い髪の毛を首元で一つに纏め、袖の長い真っ白なワンピースを着ている。
ネムリは、話す事さえ面倒と言いたそうなほどゆっくりと言葉を吐き、興味のある事など無さそうに全てに無関心である。
笑う所など誰も見た事がない。
ただ、睡眠に関して彼女は異常なほど興味関心を持っている。
いつも死んでいるような目をした彼女の唯一輝く瞬間が、睡眠が絡んだ時だと言ってもいい。
だからこそ、彼女はこの店を作った。
だが、彼女がこの店を作ったのにはもう一つの理由がある。
彼女には生まれつき、不思議な能力があった。
それは、人の夢に干渉する事ができるという能力。
彼女はこの店にやってきた客の悩みを聞き、悩みの種となっている悪夢に干渉して悩みをなくす。
それがこの店。
安眠屋バク。
「ねむい……なら、きて……
きっとよく……ねむれる……」
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