3 ハルと颯ちゃん

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「私だって、分かっているつもりなんだよ」 颯ちゃんが言葉を選んで、とても優しく諭してくれている分、涙腺の崩壊もゆるやかだった。 「あのさ、この先秋がお前にヘルプを求めてくるかもしれないじゃん」 「そうかな」 「あるさ。友達だって捨てたもんじゃないって」 「そうかな」 同じ言葉しか返せなかった。 黙り込んでいたら私たちを呼ぶ声がした。 返事をするわけでもなく、もそもそと立ち上がって居間に向かった。 途中、颯ちゃんが小声で私に「大丈夫?」ときいた。 私は小さくうなずいてから、洗面所へ向かった。 そして家族と颯ちゃんで食事をした。
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