14 すれ違う気持ち

13/18
前へ
/167ページ
次へ
「......ってことで、散りました」 ハルは颯太に今朝の告白の話をしていた。 「......」 颯太は返事につまっていた。 「そうか」 「私も秋も似た者同士だよね。お互い叶わぬ恋をしてさ。まさかユメさんまでとはね」 ハルはそこで言葉を切った。 目の前にはグランドが広がり、運動部が大きな声を出して練習をしている。 空が赤く染まり始めていた。 秋は進路相談で佐原に呼ばれているので、ハルはそれを待っているのだ。 「秋と帰るの?」 「うん」 「大丈夫?」 「うん。だって秋が一緒にいたいって言うんだもん」 「いや、それはさ」 「分かってるよ、こういうことじゃないって。でも私は側にいられる内は側にいたいの。それだけ」 ハルと颯太の間を風が吹き抜けた。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加