頼れる友人

15/15
21479人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
翌朝、目が覚めると、もう蓮池さんは家にいない。 彼は仕事なのだろう。 気になるのは、彼の優しい行動を思い出したからだろう。 まだ数日しか経ってないが、寂しい生活が続くのだろうかと思うと、胸が苦しくなる。 本当は嫌な人じゃないのかもしれないと、思うがまだわからない。 だって、嫌な人ならほっとくと思う。 昨日の彼の行動は、私の心を少し変えたのかもしれない。 政略結婚だけどこのままでいていいのだろうか。 「宮前さん、あの……」 私が声をかけたのに、驚いたのか、彼女は「はい」と、表情を緩めた。 「お夕食を今夜から私が作っても、いいですか?」 すると、彼女は目を丸くして「え、奥様が?」と、言った。 「はい」 少し優しくされただけだが、夕食を作ることで、蓮池さんと、距離が縮められないだろうかと、思ったのだ。 このまま何もしないで寂しいまま終わるより、何かしてみたほうがいい。 小さな決意が生まれた朝だった。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!