あてがわれた婚約者

10/15
前へ
/30ページ
次へ
「大学へ通ってもいいのですか?」 「あぁ。何でも好きなことはすればいい」 それは驚きだった。 「あ、ありがとうございます」 絶望的だった結婚、もしかしたら悪い人ではないのかもしれない。 だが次の言葉で私の心は、一瞬にして凍りつく。 「好きに生活していい。だが俺は……。お前を好きにならない」 彼は今なんて言っただろう。 頭の中で“お前を好きにはならない”の言葉が繰り返される。 「互いに自由だ。俺はお前を縛らないし、お前も縛るな。ただ俺の妻になるのだから、人目を気にせず浮つくのはやめろよ」 互いに自由、それに縛るな……彼の言葉が頭の中で復唱される。 彼はよそに女の人をつくるということで、その上、私にもそれを薦めているということ あまりのショックで私はしばらく何も言えなかった。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21477人が本棚に入れています
本棚に追加