頼れる友人

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昨日はあれから、荷物を片付け、彼のいないリビングで一人で晩ご飯を食べた。 調理器具は幸い全部、揃っていたため、近くのスーパーに買い物に行き一人分のご飯を作ることはできた。 キッチンはすごく使いやすかったものの、買い物が嫌だった。 それは、私のような若い女がブラックカードを所持しているのに、店員に驚いた顔をされたからだ。 いたたまれない気持ちになり、あまり使わないようにしようと決めたのは昨日のことだ。 「おはようございます」 「お、おはようございます」 部屋をでると、リビングには初老の女性がいて、頭を下げられた。 そういえば、家政婦がくると言っていたから、その人だろう。 「今日からお世話になります。宮前塔子です。 この家のお世話をさせていただきますね」 「あ、はい」 その人はとても穏やかに笑う人だったが、やや警戒してしまう。 「今から学校に行かれますよね?」 「はい……」 「かしこまりました。食を召し上がって下さい」 宮前さんは私に微笑みかけたが、私は上手く返せたかわからなかった。
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