21477人が本棚に入れています
本棚に追加
宮前さんは今日から、毎日来てくれるらしい。
元々蓮池家に仕える家政婦で、私が大学から帰るまでいるようだった。
「あの、蓮池さんは……?」
今朝はもう出掛けたのだろうか。
気配を感じないことにほっとするするような、そうでないような、よくわからない気分だ。
「共哉坊ちゃんならもうお出かけになられましたよ。坊っちゃんはいつも早いですから」
「そうですか……」
同居生活が始まる朝だというのに、彼にとって、私の存在はどうでもいいのだろう。
「お忙しい方ですから」
なんとなく、気を遣われている気がする。
しかし、彼が何をしているのか私は知らない。
ただわかっているのは、とてもお金持があり、年が私より八つ上だということだ。
八つ上の彼からしたら私なんて子供だろう。
彼が私を引き受けたのか、理解に苦しむところだが、はじめて会ったときに、都合のいい相手だと言われた。
大学が始まる日だというのに、とても憂鬱な気持ちだった。
最初のコメントを投稿しよう!